2026年調剤報酬改定 最新動向を解説(調剤基本料について)1月28日時点

この改定案では、物価高騰・賃上げに対応して全体のベース(点数)を引き上げる一方で、特定の医療機関に依存する「門前薬局」や「大手グループ薬局」、そして「都市部の乱立」に対しては、要件を厳格化して収益を適正化(実質的な引き下げ)しようとする意図が明確に示されています。

各項目の詳細は以下の通りです。

1. 基本料の引き上げ(賃上げ・物価高騰対応)

薬局経営のコスト増に対応するため、基本的な点数が引き上げられます。

調剤基本料1および3(ハ)の引き上げ: 地域の医薬品供給拠点としての役割を担う一般的な薬局(基本料1)や、特定の医療機関への集中率が低いグループ薬局(基本料3-ハ)の点数が引き上げられます。

背景: 物件費の高騰や、薬剤師・事務職員の賃上げ原資を確保するための対応です。これに加え、別途「調剤ベースアップ評価料」や「調剤物価対応料」も新設されます,。

2. 「調剤基本料2」の要件厳格化(門前薬局への規制強化)

特定の医療機関からの処方箋集中率が高い薬局(いわゆる門前薬局)に対し、低い点数(基本料2)が適用される基準が厳しくなります。

受付回数要件の引き下げ: 特定の医療機関からの処方箋集中率が85%を超える場合、これまでは「月2,000回超」で基本料2となっていましたが、この基準が「月1,800回超」に引き下げられます。

    ◦ 影響: 月1,801回〜2,000回の薬局は、これまで基本料1(高い点数)を算定できていましたが、改定後は基本料2(低い点数)に格下げとなる可能性があります。

3. 都市部の新規出店規制(医療資源の集中を抑制)

薬局が過密している都市部において、特定の病院に依存する形での新規出店を抑制する規定です。

対象地域: 東京23区、政令指定都市などの特定の都市部。

要件: 上記地域に新規開設する薬局で、特定の医療機関からの集中率が**85%を超え、かつ受付回数が「月600回」**を超えると、それだけで「調剤基本料2」の対象となります。

    ◦ 影響: 都市部では、小規模な門前薬局であっても新規出店した場合は最初から低い点数が適用されやすくなります。

4. 門前薬局等立地依存減算(新設・立地へのメス)

既存の薬局が多い地域に、さらに割り込む形で出店するようなケースに対する減算ペナルティが新設されます。

概要: 特定の条件を満たす薬局は、所定点数から減算されます。

対象となる条件例:

    1. 過密地域: 都市部などで、半径500m以内に他の薬局があり、かつ特定医療機関への集中率が高い場合。

    2. 病院敷地近隣: 200床以上の病院の敷地境界から100m以内にあり、かつそのエリアに複数の薬局が密集している場合。

    3. 医療モール: 同一敷地内や建物内に医療機関がある場合。

5. グループ薬局(調剤基本料3)の要件見直し

大手チェーングループなどの評価基準が変更され、店舗数ではなく「処方箋の総数」で判断されるようになります。

店舗数要件の削除: これまでは「グループ全体の処方箋回数が月40万回超」または「店舗数が300以上」の場合に調剤基本料3が適用されていました。今回の案では「店舗数300以上」という基準が削除されます。

処方箋回数への一本化: グループ全体の処方箋受付回数(月3.5万回〜40万回、40万回超など)のみで区分が判定されるようになります。これにより、店舗数が少なくても処方箋枚数が非常に多いグループは引き続き厳しい評価を受けることになります。

6. 特別調剤基本料Aの適用拡大(敷地内薬局等)

医療機関と密接な関係にある薬局(敷地内薬局など)に適用される「特別調剤基本料A」の対象が見直されます。

オンライン診療受診施設の設置: 薬局と同一敷地内に「オンライン診療受診施設」(いわゆる診療ブースなど)を設置している場合、その薬局は特別調剤基本料Aの対象となります。

建物内診療所に関する規定削除: これまで「薬局が入っている建物内に診療所がある場合」は特別調剤基本料Aの対象外とする(通常の基本料または特別調剤基本料Bになる)規定がありましたが、これが削除されます。

へき地の例外: 地方自治体が所有する土地にある診療所の敷地内薬局で、周囲(4km以内)に他の薬局がない場合は、例外的に調剤基本料1を算定できる規定が設けられます。

まとめ

今回の改定案は、「地域密着型の薬局や人件費確保は支援する一方で、病院の目の前で処方箋を大量に受けるだけのビジネスモデル(門前・敷地内・都心過密)には厳しい評価を下す」という意図が明確です。

1.基本料の引き上げ 物価高や賃上げに対応するため、一般的な薬局の報酬はアップします。

2.門前・都市部の規制強化 特定の病院に依存する薬局や、都市部の過密エリアへの出店は、点数が低くなる基準がかなり厳しくなります。

3.大手グループの評価基準 「店舗数」ではなく「処方箋の多さ」で判断されるようになり、実態に即した厳しい評価になります。

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※2026年1月24日時点の情報に基づき作成していますが、内容の正確性を完全に保証するものではありません。制度改正の詳細は流動的なため、本情報によって生じた不利益について責任は負いかねます。必ず最新の公文書等と照らし合わせてご確認ください。