2026年調剤報酬改定 最新動向(短冊)を簡単に解説(1月24日現在)

厚生労働省は1月23日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「個別改定項目について(その1)」を議題としました。具体的な点数はまだ伏せられたままですが、ついに、2026年の調剤報酬改定の実態が見えてまいりましたので、速報としてお伝えいたします。

今回の改定案では、「賃上げ・物価高騰への対応」と「立地依存から対人業務・地域支援への転換」が大きな柱となっています。

詳細をお知りになりたい方は、中央社会保険医療協議会 総会(第644回) 議事次第(リンクページ)をご確認ください。

1. 調剤基本料等の見直し(立地規制の強化)

薬局の経営基盤となる基本料は、賃上げ・物価対応で引き上げられる一方、特定の医療機関に依存する「門前薬局」や「敷地内薬局」に対しては要件が厳格化されます。

基本料の引き上げ: 調剤基本料1および3(ハ)※大規模薬局グループ の点数が引き上げられます。

「調剤基本料1」の要件厳格化: 特定の医療機関からの集中率が85%を超える場合、基本料2となる処方箋受付回数の基準が「月2,000回超」から「月1,800回超」に引き下げられます。

調剤基本料1の算定要件(2026年6月~)

 処方箋受付枚数と集中率(%)

  • ~1800回/月 集中率 考慮なし(※当面の間、85%以下とみなす)
  • 1800回~2000回/月 集中率85%以下

都市部の新規出店規制: 都市部(特定の地域)に新規開設する場合、集中率85%超かつ受付回数「月600回超」で調剤基本料2の対象となります。

※都市部とは下記の通り、政令指定都市及び特別区を示します。

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都道府県市区町村
1北海道札幌市
2宮城県仙台市
3埼玉県さいたま市
4千葉県千葉市
5東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区
6神奈川県横浜市、川崎市、相模原市
7新潟県新潟市
8静岡県静岡市、浜松市
9愛知県名古屋市
10京都府京都市
11大阪府大阪市、堺市
12兵庫県神戸市
13岡山県岡山市
14広島県広島市
15福岡県北九州市、福岡市
16熊本県熊本市

立地依存減算(新設): 病院近隣や医療モールなど、すでに薬局が多数ある地域に新規出店する場合、「門前薬局等立地依存減算」として点数が減算されます。

グループ薬局(調剤基本料3): 「グループ店舗数300以上」という要件が削除され、処方箋回数のみ(月40万回超など)での判定となります。

特別調剤基本料A: 薬局と同一敷地内に「オンライン診療受診施設」を設置する場合も対象に追加されます。

2. 後発医薬品・地域支援体制の抜本的再編

「後発医薬品調剤体制加算」が廃止され、「地域支援体制加算」に統合・再編されます。

後発医薬品調剤体制加算の廃止: 単独の加算としては廃止されます。

地域支援・医薬品供給対応体制加算(改組): 従来の「地域支援体制加算」が名称変更され、後発医薬品の使用割合や地域の医薬品供給拠点としての機能(備蓄、分譲、夜間休日対応等)を包括的に評価する点数となります。

バイオ後続品調剤体制加算(新設): バイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進に向けた体制を評価する加算が新設されます。

3. 対人業務評価の「成果」重視への転換

業務を行った「事実」ではなく、減薬や処方変更などの「成果」を評価する形へシフトします。

調剤管理料の簡素化: 内服薬の調剤管理料が、これまでの日数ごとの4区分から、「長期処方(28日分以上)」と「それ以外(27日分以下)」の2区分に簡素化されます。

成果に基づく加算の新設: 従来の「重複投薬・相互作用等防止加算」等は廃止され、以下の新設加算に再編されます。

    ◦ 調剤時残薬調整加算: 残薬確認により処方日数を調整(減薬)した場合に算定。

    ◦ 薬学的有害事象等防止加算: 重複投薬や相互作用防止のために照会し、処方が変更された場合に算定。

4. かかりつけ薬剤師・在宅業務の見直し

かかりつけ薬剤師指導料の廃止と統合: 「かかりつけ薬剤師指導料」等の固有の点数は廃止され、「服薬管理指導料」の中の区分として組み込まれます。

在宅業務の強化:

    ◦ 訪問診療薬剤師同時指導料(新設): 医師と薬剤師が同行して訪問した場合の評価が新設されます。

    ◦ 複数名薬剤管理指導訪問料(新設): 困難な事例に対し、複数名で訪問した場合の評価が新設されます。

    ◦ 訪問回数制限の緩和: 在宅患者訪問薬剤管理指導料の「算定間隔6日以上」の規定が廃止され、週1回の算定が可能になります。

5. 賃上げ・物価高騰・DX対応

調剤ベースアップ評価料(新設): 職員の賃上げを実施するための点数が新設されます。

調剤物価対応料(新設): 物価高騰に対応する点数が新設されます(令和9年6月以降は倍増予定)。

電子的調剤情報連携体制整備加算: 「医療DX推進体制整備加算」が名称変更され、電子処方箋システムによる重複投薬チェック体制などが要件化されます。

まとめ

今回の調剤報酬改定案の3つの流れを簡単に解説致します。今後、経営者は6月以降の運用を見据え、今から新しいビジネスモデルや患者とのコミュニケーション強化、などの対策を検討する必要があります 。

1. 門前・都市部・大手の締め付け 賃上げ対応で基本料は上がりますが、特定の病院に依存する薬局や、都市部の新規店、大型グループへの要件が厳しくなります。

2. 「行為」から「結果」の評価へ ただ業務を行うだけでなく、残薬調整(減薬)や処方変更といった「具体的な成果」が出た場合に点数がつく仕組みへ変わります。

3. 地域支援・在宅・DXの強化 「後発医薬品加算」などの単独加算が廃止・統合され、地域支援や在宅医療、DX対応(電子処方箋など)を包括的に行う薬局が評価されます。

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※2026年1月24日時点の情報に基づき作成していますが、内容の正確性を完全に保証するものではありません。制度改正の詳細は流動的なため、本情報によって生じた不利益について責任は負いかねます。必ず最新の公文書等と照らし合わせてご確認ください。