2026年調剤報酬改定 答申 調剤基本料(本体部分)について 簡単に解説(2月16日現在)

2月13日 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)にて2026年調剤報酬改定の全貌が明らかになる、「答申」が発表されました。

かなり詳細な情報が明らかになりましたので、現状について、解説を致します。今回の改定は、単に点数を操作するだけでなく、「立地依存(門前薬局)からの脱却」「グループ薬局の評価基準の実質化(店舗数から処方箋枚数へ)」、そして「地域医療を守るための配慮」という明確な意図が込められています。

1. 調剤基本料の点数引き上げ(ベースアップ)

賃上げや物価高騰に対応するため、全ての基本料で点数が引き上げられました。

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

調剤基本料1:45点 → 47点(+2点)

    ◦ 特定の医療機関への集中率が低く、かつ広域的に処方箋を受けている一般的な薬局が該当します。

調剤基本料2:29点 → 30点(+1点)

    ◦ 特定の医療機関からの集中率が高い薬局、新規で都市部に出店の薬局などが該当します。

調剤基本料3(グループ薬局向け):

    ◦ :24点 → 25点(+1点)

    ◦ :19点 → 20点(+1点)

    ◦ :35点 → 37点(+2点)

特別調剤基本料A:5点(変更なし)

    ◦ 敷地内薬局などが該当します。

特別調剤基本料B:3点(変更なし)

2. 調剤基本料2の対象拡大(立地依存型への厳格化)

「特定の医療機関からの処方箋集中率が高い薬局」に対する評価(調剤基本料2=30点)の適用範囲が拡大されました。これにより、従来は高い点数(基本料1)を算定できていた薬局でも、以下の条件に当てはまると点数が下がることになります。

① 中規模・高集中率薬局への適用拡大

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

これまで対象外だった以下の層が新たに追加されました。

条件:特定の医療機関への集中率が 85%超~95%以下 であり、かつ 処方箋受付回数が 月1,800回超~2,000回以下 の薬局。

背景:これまで月2,000回以下の薬局は集中率が高くても「基本料1」でしたが、その閾値が引き下げられ、より小規模でも集中率が高い場合は評価が下がることになります。

② 都市部の新規開局への規制強化

都市部において、特定の医療機関に依存する形での新規出店を抑制する措置が導入されました。

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

条件:「都市部」に所在し、かつ以下の要件を満たす薬局(新規指定等の場合)。

    ◦ 処方箋受付回数:月600回超

    ◦ 特定の医療機関への集中率:85%超

対象地域(都市部)

    ◦ 東京23区

    ◦ 政令指定都市(札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市)

3. 調剤基本料3の要件見直し(グループ薬局の評価変革)

大手グループ薬局に適用される「調剤基本料3」について、「店舗数」という基準が廃止され、「処方箋の受付回数」という実質的な規模での判断に統一されました。

① 店舗数要件の廃止

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

変更点:「グループ全体の店舗数が300以上」という要件が削除されました。

結果:今後は店舗数にかかわらず、グループ全体の「処方箋受付回数(月40万回超など)」のみで判定されます。これにより、店舗数が多くても処方箋枚数が少ないグループや、逆に店舗数が少なくても枚数が多いグループの扱いが変わる可能性があります。

② 適用範囲の拡大(3のイ)

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

より小規模なグループ(または処方箋枚数がやや少ないグループ)であっても、特定の医療機関との結びつきが強い場合は、低い点数(基本料3のイ=25点)が適用される範囲が広がりました。

新条件:グループ全体の処方箋受付回数が 月3万5千回超~40万回以下 であり、かつ 特定の医療機関への集中率が 95%超(または不動産取引等がある)場合。

4. 特別調剤基本料Aの例外規定(地域医療を守る措置)

敷地内薬局などには通常、極めて低い点数(特別調剤基本料A=5点)が適用されますが、過疎地などの医療確保のために例外規定が設けられました。

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

特例措置:以下の条件を全て満たす場合、特別調剤基本料Aではなく、通常の「調剤基本料1(47点)」を算定できるようになります。

    1. 地方公共団体が所有する土地にある診療所(または公的医療機関)と同一敷地・建物にある薬局であること。

    2. その診療所等が、へき地医療の拠点として都道府県知事に認められていること。

    3. その薬局から半径 4km以内 に他の薬局がないこと。

意義:採算が厳しいへき地において、敷地内薬局という形態であっても地域住民への医薬品供給を維持するための配慮です。

5.医療モール等の集中率計算

今回の改定では、いわゆる「医療モール」内にある薬局の集中率計算ルールも厳格化されています。

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基にAIを用いて筆者作成)

ルールの明確化:同一建物内または同一敷地内に複数の医療機関がある場合(医療モールなど)、これらを「1つの医療機関」とみなして集中率を計算します。

影響:これまでは「内科から50%、眼科から40%」のように分散しているように見えていたケースでも、合算して「当該モールから90%」となれば、集中率が高いと判断され、調剤基本料が減算される(基本料2などになる)可能性が高まります。

以上の変更により、特定の医療機関に依存せず、地域住民に対して広くサービスを提供する「かかりつけ機能」を持つ薬局がより評価される仕組みとなっています。

まとめ

令和8年の調剤基本料について、新基準と早見表を作成しました。ご参照ください。

区分点数主な要件
調剤基本料147点-
調剤基本料230点集中率85-95% かつ 1800-2000回
(都市部新規)東京23区・政令市 集中率85%超 かつ 600回超
調剤基本料3(イ)25点グループ全体 3.5万-40万回 かつ 集中率95%超
調剤基本料3(ロ)20点グループ全体 40万回超 敷地内
調剤基本料3(ハ)37点グループ全体 40万回超 敷地外
特別調剤基本料A5点敷地内薬局など
基本料A へき地特例47点公的敷地内・へき地拠点・4km無し
特別調剤基本料B3点届出なし

(出典:厚生労働省『個別改定項目について(令和8年2月13日)』を基に筆者作成)

今回の改定は、特定の病院の前に立地して処方箋を待つだけの「受け身の薬局」から、地域住民に対して広くサービスを提供し、医薬品供給の責務を負う「かかりつけ機能を持つ薬局」へと転換を促すものです。薬局は、単に処方箋を処理する場所から、地域医療連携のハブとしての機能をより強く求められる時代に入ったと言えます。

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